木曜日、5月 21、2020
Computer Module 3 + を使う
Raspberry pi 3 B と同じCPUを搭載したCM3 +(Plus)シリーズが発表されたのは昨年(2019年)1月でした。Raspberry pi 3 Bと同様にmicroSDカードベースのCM3 + Lite(eMMCなし)モデル以外に8GB、16GB、32GBのeMMCを搭載した4種類のモデルが発売されました。CM3では4GB搭載モデルしかありませんでしたので、Raspbian Buster Lite(最新版、2019年以降 リリースでないとCM3 +が動作しません)しかインストールできませんが、8GB以上あればRspbian Buster with desktopもinstall可能です。機器組込用途では
microSDへのアクセスが続くことによる「ヘタリ」やホコリや周囲温度によるトラブルに気を遣うことがなくなります。これらのeMMC搭載モデルが最近国内でも入手しやすくなりましたのでCM3MB2,CM3MB3に搭載し、Raspbianのinstallなどの方法を紹介します。
なお、Audio機器組込用に開発されたCM3MB1への搭載方法については【RAL_Raspi Blog】ページを参照して下さい。
機器組込用としてRaspberry pi 3 Bなどの標準外形モデルを使用する場合、四方からコネクタが出ていたり、microSDカードソケットの位置にも気を遣わねばなりません。Photo-1はRaspberry pi 2Bを組込んだ一例です。
[Photo-1]【ナンバー呼出システムVango】の内部配線の様子。
USBやHDMIの配線が入り組んでいます。また、写真では見づらいですがRaspberry pi 基板下側の裏側(白いコネクタの裏側)にmicroSDのスロットがあります。メディアの着脱を考えると、この部分も考慮する必要があります。
もっとスマートにRaspberry piを組み込むにはどうすればよいかということで、私たちは電源まわりやRealtime Clock,Battery Backupなどの周辺回路を搭載したCM3MBシリーズを提供しています。今回発売されたeMMC搭載のCM3 +はまさに「鬼に金棒」と言えます。
【RPi-CM3MB2シリーズ】
バックアップ電池搭載の多機能キャリアボード。写真はPoE対応版(約166mm x 112 mm 約206g)
「photo」
【RPi-CM3MB3】
小型キャリアボード(約120mm x 84mm 約82g)
Step.1
基本となるOS Raspbianのdownload、解凍、CM3 +上のeMMCへのOSの書き込みを実行するためにWindow10PCを用意してください。microSDカードに書き込む場合と同様に
【SDFormatter】
【Win32DiskImager】
のinstallも必要です。CM3+上のeMMCにRaspbianを書き込むためにはWindws10からeMMCをmicroSDカードとして認識させるためのrpiboot.exeというDeviceDriverが必要です。
詳しくは、【Flashing the Compute Module eMMC】という記事を参照して下さい。その記事中のリンクをクリックしてRPiBoot.exeをダウンロードし、インストールしておいて下さい。
Step.2
CM3MBxにeMMC付きのCM3 +(CM3 4GBも同様です)を装着して下さい。J6(USB Boot)の1-2間に短絡プラグを差し込み、【Enable】に設定 して下さい(Photo-2、3参照、CM3MB2/MB3共通)。
[Photo-2]
【RPi-CM3MB2シリーズ】
Step.3
CM3MBxのmicroUSBコネクタ(cn2)とWindows10PCのUSB-Aポートを接続しCM3MBxの電源をONにして下さい。
Step.4
Windows10PC上で【rpiboot.exe】を実行してください。「コマンドプロンプト」のWindowが表示され、CM3+の接続待ちとなります。数秒後にCM3+上のeMMCが認識され、ドライブ名がアサインされますのでexplorerで確認して下さい。
Step.5
アサインされたドライブに対してSDFormatterを実行し、microSDに見せかけたeMMCをフォーマットして下さい。
SD Card Formatter
Step.6
Formatが終了したら【Win32DiskImager】を実行、書き込み先としてStep.4で確認したドライブ名を指定し、あらかじめdownload、解凍しておいたRaspbianのimageをeMMCに書き込んで下さい。Raspbianの最新版は【Raspbian Buster 4.19 2019-09-26】ですが、CM3(4GB)に書き込む場合はLiteを選択しないとイメージが収容できません。CM3+(8GBもしくは16GB,32GB)の場合は”with Desktop”も書き込めますが、”with Dsktop”や”with Desktop and Recomennded Software”版はRaspbery piをLinux デスクトップ機としてPCライクに使用するためのものですので、機器組込み用には”Lite”が最適です。
Win32 Disk Imager
Step.7
書込みが正常終了したらexplorerでアサインされたドライブをクリックしてみて下さい。ドライブには【boot【というラベル(Volume名、Raspberry piでは/bootという名称のFAT32のフォルダ)が付けられておりその下のファイルが表示されます。そこにあらかじめPC上に作成しておいたssh(もしくはSSH)という名前の空の拡張子がないファイル(何かのtextがはいっていてもよい)をcopyしておきます。このsshというファイルが/bootに存在しないと同一Networtk上のPCやMacからSSHを使用してlogfinできませんのでCM3+の初期設定などが難しくなります。sshという名称のファイルはPC上ではテキストエディタ(‘メモ帳’など)を使って作成できますが、必ず’名前の変更’を選択して拡張子を削除しておいて下さい。
Step.8
同様にPC上でテキストエディタを使用してあらかじめPC上にuserconfig.txtという名称のテキストファイルを作成しておき、そのファイルをeMMC(Raspbianの/bootフォルダ)にコピーして下さい。userconfig.txtの内容は下記ですが、一つの文中にスペースは入れないで下さい。スペースがあるとセパレータとして認識され記述した内容が正しく実行されません。またタイプミスがあってもbootの実行は止まらずそれらを無視して続行されますので正確に記述して下さい。
dtoverlay=pi3-act-led,gpio=16 dtoverlay=gpio-poweroff,gpiopin=5
Windows10上のTextエディタでboot/config.txtを読み出し、最終行にinclude userconfig.txtという記述を追加しておいて下さい。
Step.9
以上の作業が終了したらCM3MBxの電源を切り、PCとの接続ケーブル(microB to USB-A)を外し、J6(USB Boot)の2-3間に短絡プラグを戻してDISableに設定 して下さい(Photo-4,5参照)。
[Photo-4]RPi-CM3MB2シリーズ
[Photo-5]RPi-CM3MB3
Step.10
LANケーブル、必要に応じてHDMIケーブル、キーボードなどを接続した後、電源をONにして下さい。Power_LEDが点灯しその横のAct_LEDが点滅してRaspbianがLoadされればStep.9までの操作が正しく実行されたことがわかります。最初はファイルシステムの構築などが行われるため数分かかる場合もありますが正常にRaspbianが起動することを確かめて下さい。初回はHDMIディスプレイ(HD-TVでOK)とUSBキーボードを接続しておくことを推奨します。起動時いろんなMessageが次々と表示され最終的に画面の左上隅にUserとPasswordの入力prompt messageが表示されます。CM3Mbxに接続されたHDMIディスプレイとキーボードでStep.12以降の作業を行う場合はUser,PWの初期値としてそれぞれ pi, raspberryを入力して下さい。 User,PWが認証され Raspbianが起動したのちifconfig
Step.11
同様な作業をCM3MBxに直接HDMIディスプレイとキーボードを接続せずに行う場合は同一LAN内のPCもしくはMacからSSHを使用してLoginする必要があります。
Step.12
ここまでのStepで’CM3 +’上のeMMCメモリにはRaspbianが正しくinstallされました。続いて、CM3MBxのShutdownボタンを有効にするための設定や、時刻(Time Zone)の設定を行います。CM3MBxのShutdownボタンは機器に組み込んでHeadless(CM3Mbxにキーボード、マウス、HDMIディスプレイを接続しないで)で運用している場合に電源を外部からOFFにしたい場合などにとても便利です。